昔から、「健やかな身体に育つように」という
願いを込めた言い伝えやおまじないは、
各地に多く伝えられています。
歯も同様です。
上の乳歯を床下へ、下の乳歯を屋根上へ投げるのは、
「続いて生えてくる永久歯をその方向へちゃんと導いてくれるように」
というおまじないです。
またその際、「ネズミの歯のように強くなーれ!」や
「ネズミの歯と変ーわれ!」というような願いを掛けることが多いようです。
ネズミの歯が後から後から伸び続けることにあやかったのでしょう。
同じようなおまじないは世界各地にあり、
お願いする相手も、ネズミはもちろん、
小鳥、カラス、すずめ、お月さま、
聖ヨハネなど、多種多様です。
また、お日様に向かって投げたり、畑に埋めたり、
ネズミの巣穴に入れたり、パンに埋め込み動物に食べさせたり、
と方法もいろいろです。
欧米には抜けた乳歯を枕下に置いて寝ると、
歯の妖精「トゥース・フェアリー」が集めに来て、
代わりにコインを置いていく、という言い伝えがあります。
妖精は、きれいな乳歯しか持って行ってくれないということですから、
むし歯予防のための戒めになっています。
乳歯がぬけたあと丈夫な永久歯が生えてほしいのは、
万国共通の願い。
どの国の慣習にも、健やかに大人になってほしい、
そんな思いがつまっているのですね。